ねぇパパ、お金ってどうやってつくってるの?  親子で学ぶ、日銀と通貨発行・インフレのしくみ(第11回)

子育てと家族

こんにちは、JINKです。

「親子で学ぶ経済シリーズ」も第11回まできました!

今回は、毎日の生活に欠かせない「お金」についてです。

「ねぇパパ、日本ってお金をつくれるんでしょ?だったら、いっぱい作ればお金持ちになれるんじゃない?」

ある日、娘にそう聞かれて、ドキッとしました。たしかに、子どもからすれば自然な疑問ですよね。

でも実はそこに、**みんなが知らない“お金の本当の姿”**に関わる、とても大切なヒミツがあるんです。

今回は、「お金ってどうやって作ってるの?」「たくさん作れば豊かになれるの?」という疑問について、親子でいっしょに学んでいきましょう!


💬 お金ってどうやって作るの?

「お金って、どこかの工場で印刷してるんでしょ?」
そんなイメージを持っている人も多いかもしれません。

実は、お札や硬貨をつくっているのは、国立印刷局や造幣局という専門の場所です。

でも、「この紙は日本のお金として使えます!」と決めるのは、**日本銀行(にっぽんぎんこう)**という特別な銀行なんです。

お札の右下を見てみてください。
「日本銀行券」って書いてありますよね?
それは、この紙が国のお金として、みんなが安心して使えるというおすみつきのサインなんです。


💻 見えない「お金」もたくさんある!

でも実は、私たちが使っているお金のほとんどは、紙のお金ではありません。
これ、ちょっとびっくりするかもしれないけどね!

その多くが、「データのお金」なんです。

たとえば、スマホで銀行の残高を見ると、数字が表示されますよね?
**あれこそが、形は見えないけれど、ちゃんとお店で使える価値を持っている“お金”**なんです。

つまり、現代のお金は、お札や小銭だけじゃなく、銀行の中にある数字の記録として存在していて、
その流れも日本銀行がコントロールしているんです。


💸 お金をたくさん作れば、みんな豊かになる?

「だったら、国がもっとお金を作ればいいじゃん!みんなお金持ちになれるんじゃないの?」

そう思うのも自然ですよね。

でもね、もしそれをやってしまうと、かえってみんなが困ってしまう、不思議なことが起きるんです。


🍭 たとえ話:お菓子とお金の関係

たとえば、お店にお菓子が5個しかないのに、
みんながたくさんのお金を持っていて、そのお菓子を欲しがったらどうなるでしょう?

当然、取り合いになりますよね。

すると、お店の人は「じゃあ、もっと高く売ろう」と考えます。

お菓子1個が100円だったのに、500円、1000円とどんどん値上がり――
これが「インフレーション(インフレ)」と呼ばれる現象です。


🔥 ハイパーインフレってなに?

このインフレがひどくなりすぎると、「ハイパーインフレ」という状態になります。

たとえば、2000年代のジンバブエという国では、パン1個が1兆ジンバブエドルにもなったことがあるんです。

つまり、お金をたくさん持っていても、何も買えない。
お金の信頼がなくなってしまったんですね。

(補足)実は、戦後の日本でも、国が困ったからといってお金を急にたくさん作った結果、物の値段がとんでもなく上がってしまい、生活が大変だった時代がありました。

だから今は、日本銀行が慎重にお金の量を管理しているんです。


🪙 お金って「信じられてこそ価値がある」

ここが、とっても大事なポイントです。

お金って、ただの紙ですよね?
でも、みんなが「このお札でモノが買える!」と信じているからこそ、価値がある。

もしその信頼がなくなったら――
お金は、ただの紙切れになってしまうかもしれません。

だから、おもちゃのお金とは違うんだよ。

お金は、「作ること」よりも、「みんなが信じられること」のほうがずっと大切なんですね。


🧯 お金の量を調整しているのは誰?

それを調整しているのが、日本銀行の大事な仕事です。

日本銀行は、景気や物価の変化を見ながら、

  • 景気が悪い → お金をふやす(金融緩和)
  • 物価が上がりすぎている → お金をしぼる(金融引き締め)

という「金融政策」を行っています。

これはまるで「水道の蛇口」のようなもの。

ちょうどいい水の量が必要なように、**ちょうどいい“お金の量”**を保つことが、
日本銀行の、日本の経済を守るためのとても大切な仕事なんです。

お金が多すぎても少なすぎても、みんなが困っちゃうからね。


🧾「じゃあ、国の借金もお金を刷って返せばいいんじゃないの?」

これはよくある疑問です。

でも、それをやってしまうと――
お金があふれて、物の値段がどんどん上がっていく「ハイパーインフレ」が起きてしまうかもしれません。

その結果、

  • お店からモノが買えなくなる
  • 海外との貿易ができなくなる
  • 円の価値が下がって、みんなが困る

といった大混乱につながるんです。


👧 子どもに説明しやすく言うと…

「お金は“お買い物チケット”。でも、チケットの枚数をたくさん増やしても、お店の商品が増えていなかったら、1枚じゃ足りなくなるよね?今まで1枚で買えたものが、2枚、3枚と必要になる。つまり、チケットの価値が下がっちゃうんだ。」

「もし、みんなが1日100万円もらえたらうれしい?でもね、お店にパンが1個しかないのに、みんながお金持ちになったらどうなると思う?
パンがどんどん値上がりして、パン1個が10万円になっちゃったら、せっかく100万円もらっても意味ないよね。もらったお金の『価値』が下がってしまうんだ。」


🧑‍🏫 パパママにとってのポイント

  • お金を発行できるのは「日本銀行」のみ
  • お金の価値は、「信用」によって成り立っている
  • 作りすぎるとインフレや信頼崩壊の原因になる
  • 金融政策は、景気や物価に応じて調整されている
  • お金は「作る力」より、「守る力」が重要

📚 まとめ

お金は、ただの紙や数字ではありません。
「みんなが信じているからこそ、価値がある」――それが“お金”の本質です。

そして、国が持っている「お金を作る力」は、使い方をまちがえると、社会全体を混乱させてしまいます。

だからこそ、**お金は“つくる力”だけでなく、その『価値』をみんなが安心して信じられるように『守る力』**がとても大切なんですね。

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🔜 次回予告(第12回)

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親子で学ぶ、景気と経済の波のしくみ(第12回)

「景気がいい」とか「不景気」ってニュースでよく聞くけど、なにが良くてなにが悪いの?
どんなときに景気はよくなるの?悪くなるの?そして私たちの生活にはどんな影響があるの?

次回は、そんな「景気の波」が起こる理由と仕組みを、親子でやさしく学んでいきます。

お楽しみに!

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